2010年10月13日水曜日

Googleニュースのクリエイターが予測する「ジャーナリズムの5年後」

米国ブログメディア TheNextWeb に、Googleニュースの生みの親であるBharat氏のインタビュー記事が、少し前(2010年6月)に掲載されていました。


私はGoogleニュースをそれほど使いませんが、最近も着々と機能を充実させているようです。以下、Googleニュースの解説ページからの抜粋です。

Google ニュースはコンピュータが生成するニュース サイトです。610 以上のニュース ソースから記事見出しを収集し、類似した内容の記事をグループにまとめて、読者一人一人の関心に合うような記事を表示しています。

これまでニュースを読む時には、メディア サイトを決めてから記事を読んでいませんでしたか? Google ニュースの特長は、読者ごとにカスタマイズできる表示オプションと、1 つの話題についてさまざまな観点から書かれた記事の選択肢を提供していることです。 Google ニュースでは 1 つのニュースについて複数の記事をリンクしているので、気になる話題について、様々なニュース ソースから提供される記事を読むことができます。 記事の見出しをクリックすると、そのニュースの提供元サイトにアクセスして全文を読むことができます。

Google ニュースの記事は、記事の表示頻度、掲載サイト、およびその他数多くの要素をコンピュータが評価することでランク付けされています。 その結果、政治的観点やイデオロギーに関係なく記事が分類されるので、同じニュースについてさまざまな観点から情報を得ることができます。 Google では、ニュース ソースの追加、技術的な改善、提供地域の拡大など、Google ニュースの改善に努めています。

少々前置きが長くなってしまいましたが、Bharat氏はこのインタビュー記事の中で「ジャーナリズムの5年後」について言及されています(個人的には「ジャーナリストの5年後」というよりかは「ニュースを取り巻く環境の5年後」の方がしっくりきます)。その「ジャーナリズムの5年後」の特徴は以下の通り。

  1. 特化
    個々のニュースメディアは今後益々特定の分野や地域に特化していく。
  2. ソーシャルネットワーク
    ジャーナリストは今以上にソーシャルネットワークを利用するようになる。
  3. 課金システム
    より効果的な課金システムこそが肝となる。今後課金システムの利便性は向上し、読者はより簡単に目的の記事を見つけ、そしてより簡単にお金を払えるようになる。
  4. 広告
    聴視者の嗜好に合わせてより効果的に記事と広告を連動させることができるようになる。
  5. パッケージング
    聴視者の嗜好に合った推奨記事をパッケージ化(パッケージング)して提示できるようになる。

なるほど、どれも頷けますね。米国では「1.特化」の兆候は既に表れていますね。今後は何かに特化できないニュースメディアはもはや生き残れない、ということなのでしょう。現在のテクノロジーの進化スピードからすると「2.ソーシャルネットワーク」「3.課金システム」「4.広告」「5.パッケージング」などは、5年を待たずにダイナミックな変化が起きそうな予感があります。

さて、インタビュアーはここにさらに二つのトピックを追加しています。

  1. ニュースリーダの台頭
    ニュースサイトを直接見るのではなく、ニュースリーダ経由でニュースを読む人が増える。
  2. アプリケーションの普及
    ニュースメディアは、自社のニュースサイト上だけでなく、iPhoneやiPad、Androidなどのアプリケーション経由でも自社のニュースを読んでもらえるようになる(課金システム付きで)。

メディア企業のエンジニアとしては、今後起こるであろうこうした変化を見据えて新しいサービスシステムや編集システムの仕組を考えていきたいところ。

肝心なのはニュースの中身なんですけどね。

2010年10月8日金曜日

8月15日を撮るプロジェクトを終えて

少し遅くなってしまいましたが、8月15日を撮るプロジェクトの結果をご報告。

準備期間が非常に短かったにも関わらず、多くの方にご協力いただいたおかげで、何とか無事にプロジェクトを終えることができました。「8月15日を多角的視点から覗いたら何が見えるか」という問いかけから誕生した本プロジェクトでは、「2010年8月15日に撮った写真であること。」というテーマに沿った写真を、メール及びツイッター経由で100名以上の方から200枚以上の写真を集めることに成功しました。我々が本プロジェクトで集めた写真は、現在も以下のページから閲覧することができます。写真をお送りいただいた皆様、本当にありがとうございました!


今回は、日本人にとって特別な日に、主催者側が特に「戦争」を意識させるアクションを取るこることなく、老若男女、プロ・アマを問わず幅広く写真を集めたわけですが、全ての写真を改めて見ていると本当に面白い。撮影者のひとたちは、何を思いながら写真を撮影したのだろう?8月15日に撮影されたこれらの写真を見る人達は、何を思うのだろう?そんなことをふと考えてしまいます。

何かイベントを開催するとき、主催者はイベントに対して意味や意義を明確に与えます。そしてその意味や意義に共鳴した人がイベントに参加します。しかし本プロジェクトには明確な意味や意義ががありませんた。我々が提示した一遍の詩のような文章を読まれ、そこから意味や意義を見出した人が参加する、というスタイルをとったのです。そしてここに本プロジェクトの面白さがあるような気がしています。

個人的にお気に入りの写真。



2010年10月5日火曜日

質問の意図を正確に把握する

毎月恒例のmixbeatワークショップ、今月のテーマは「(見知った人同士のコミュニケーションにおける)質問、問題、課題の意図を分解して理解する」でした。



午前の部では座学で理論を学び、午後の部で理論を実践する、という比較的オーソドックスな構成。



ワークショップの企画・運営は同期のふさおさんとなっこ。



本ワークショップでは、質問の内容(what)ではなく、質問の意図(why)にフォーカスは絞られます。「人は余裕が無いときに複雑な質問を受けると、質問者の意図をくみ取れず、質問者が意図しない回答をついしてしまうことがある」という問題意識に対して、「一旦落ち着いたうえで、質問の意図を『早さ』『関係』『期待』『内容』の4要素に分解してそれぞれ深く考え、その中でミスコミュニケーションしそうな要素があれば聞き返そう」という解決策が提示されました。

< 質問の意図を把握するための要素 >
  • 早さ:質問者はどの程度の緊急性をもっているか?(緊急性)
  • 関係:質問者と回答者の関係はどのようなものか?(関係性)
  • 期待:質問者は回答者に対してどの程度回答を期待しているか?(期待度)
  • 内容:質問の内容はどのようなものか?

「質問の意図を把握するための要素」は上記4つ以外にもいくつかあるようですが、特に重要ななのがこれらのようです。



午前の部の座学では問題意識と解決策を共有。参加者から様々な質問が飛び交い、予定時間を1時間ほどオーバーして座学終了。私もいくつか質問をしましたが、「質問の意図を把握するための要素」に何故「内容」が含まれているのか、4要素はどのようにして導出されたのか、4要素には妥当性があるのか、聞き返す以外にも何かできるのではないか、などの考えがぐるぐる回り、残念ながら解決策の理論に得心がいきませんでした。少し消化不良のまま昼食タイムへ。



午後の部は午前の座学の内容(理論)を踏まえてのアクティビティ(実践)。「二人一組になって、回答者が質問者に質問して質問者の質問の意図を当てる」というゲームに挑戦しました。



ゲームの詳細に興味があればmixbeatの活動報告ブログを参照してみてください。


座学の内容はあまり活かせませんでしたが、アクティビティ自体は結構面白かった。アクティビティはワークショップのだいご味ですね。



問題意識(人は余裕が無いときに複雑な質問を受けると、質問者の意図をくみ取れず、質問者が意図しない回答をついしてしまうことがある)についてはうなずけるものはありましたが、やはり最後まで提示された解決策に納得することはできませんでした。午前中の座学でもう少し論理的な説明があればまた違ったかもしれませんが、取り扱われたテーマ自体、ワークショップで扱うには少々大きすぎるのではないかと思いました。


最後に少し余談。今回のワークショップの会場となった「武蔵小山創業支援センター」は起業家の支援がメイン事業となっていますが、ここの貸し会議室も結構お勧めです。今年8月にオープンしたばかりで清潔感もあり、備品類も充実しています。




近くにあるケーキ屋さんも合わせてご活用ください。同期のムタが推薦。私もワークショップの帰りに3つほど購入。本当に美味かったです。


※ mixbeatでは第4期生を募集します。ご興味のある方は是非こちらでメールアドレスの登録を!


ワークショップの企画・運営、ワークショップへの参加、塾生間のコミュニケーションを通して、多くのことを学べる絶好の機会となるはずです!