2010年11月14日日曜日

#book 街場のメディア論

内田樹氏の著書『街場のメディア論』についてブログを書こうとここ1ヶ月ほど悶々と切り口を考えていたのですが、一時断念します。まとまりませんでした。力不足。(それほど私にとって内容が濃密でした)



本書では「何故日本のマスメディアは凋落したのか」「何故凋落したと言えるのか」「本来マスメディアはどうあるべきか」「マスメディアの凋落は日本にどのような影響を与えているのか」など、内田氏の「メディア論」が展開されています。著作権に対する考え方も実に面白い。メディア業界の人だけでなく、メディアに興味のある方ならどなたでも一読の価値があるのではないでしょうか。本書の内容について、色々な方と議論してみたいですね…

一点だけ。

本書の第5章『メディアと変えないほうがよいもの』において、内田氏は「医療」「教育」そして「メディア」は金儲けをするためのものではない(市場原理を持ち込むべきではない)、と指摘されています。これについて、私は大いに同意します。メディア(もちろん、医療と教育も)は「金儲け」ではなく「持続させること」をまず第一に考えるべきだと。そしてそれこそが社会的な責任なのではないかと。その理路については、また後日。

2010年11月12日金曜日

ツイート記事アーカイブ(2010年10月)

今月から私がツイッターでツイートした記事のうちメディア業界に関する記事を中心に、過去1カ月分を読み直した上で、毎月1回ブログにまとめることにしました。メディア業界関連の記事は社内の勉強会で議論するためのネタにしようかと考えており、メディアに関する普遍的な論考やメディア業界の大きな流れを掴めそうな記事を中心に選定しようと思います。また、テクノロジーや社会問題など、個人的に興味のある分野についても最後の方でまとめてみようと思います。

それでは早速。先月(2010年10月)ツイートした記事は51本ありました。以下、これらの中からいくつかピックアップしてご紹介します。

まずはメディアやメディア業界に関する記事から。

先月公開された内田樹氏によるマスメディアに関する記事は実に示唆に富んでおり、氏の著書『街場のメディア論』と合わせ、是非読んでおきたいですね。マスメディアに在籍するものとしては手厳しい話がいくつも内包されておりますが、それらは全て真摯に受け止めたいと考えています。


テクノロジーが進化し、フェースブックやミクシィを始めとしたSNS、ユーチューブやツイッターといったソーシャルプラットフォーム(「ソーシャルメディア」「ソーシャルウェブ」との表記もありますが、今後は「ソーシャルプラットフォーム」で統一してみたいと思います)の普及が進んでいます。こうした現状を踏まえ、ではこれからどのように情報の流通形態が変化していくのか、その論考を深めていく必要があると考えています。そしてその上でインプットになりそうな題材として、今月は以下の記事に注目してみました。


続いて国内外のメディア業界の動向に関する記事。

先月は海外のメディア事情について気になった記事が2本ありました。いずれもニューズウィーク日本版のサイトから。


国内メディア企業の動きについて2本。


その他、以下の記事に注目してみました。


メディアに関する記事は以上です。ここからは個人的に興味のある分野の記事からいくつかご紹介します。

先月は国内の貧困問題に言及する記事をいくつか目にしました。この分野の記事については今月以降も気になるものがあれば紹介していこうと思います。


フォトジャーナリストの佐藤慧さん(@KeiSatoJapan)とは、以前『「8月15日を撮る」プロジェクト』でご一緒させていただいたのですが、とても魅力的な方です。熱意と行動力が素晴らしい(羨ましい!)。慧さんが扱われている分野が私の興味分野と重なっていることもあり、慧さんの取材活動には今後も注目していきたいと思います。


今月は、他にも以下のような記事に注目してみました。


ここでピックアップした記事について、もしご意見などあればお聞かせください。ブログのコメント欄でも良いですし、ツイッターで話しかけていただいても構いません。

読み直したり編集したりと若干手間はかかるのですが、この取り組みは少し続けてみようと思います。

2010年11月8日月曜日

文章を読み取る力をつける

毎月恒例のmixbeatワークショップ、今月のテーマは「文章を読み取る力をつける」でした。人によって経験や知識、感性は異なるなめ、同じ文章を読んでも文章の読み取り方、例えば気付くことや思うこと、疑問を持つことは様々です。本ワークショップの狙いは、この「文章の読み取り方(着眼点)」の違いを可視化し、自分と他者を比較しながら他者の良い部分を取り入れることで、最終的に文章を読み取る力をつけよう、というものです。

ワークショップのおおまかな流れは以下の通り。

  1. 参加者全員で一斉に同一文章を読み、着眼点を制限時間内に書き出す
  2. それぞれが書き出した着眼点を参加者全員で共有する
  3. 共有された着眼点をもとに参加者全員でディスカッションする

当日はこれを2回実施しました。詳細については『mixbeat活動報告ブログ』を是非ご参照ください。


ここからは少し当日の様子をご紹介します。

まずはルールの説明から。



一通り質疑応答を終えたら、いざ実践。A4用紙で2~4ページぐらいの比較的短い文章を一斉に読みはじめ、着眼点を書き出します。この日提示された文章は「旅行記」「教科書からの抜粋」「専門雑誌の記事」など、普段殆ど読まない類のものばかり。参加者全員にとってあまりなじみの無い文章が良い、との判断から、こうした文章が選択されました。制限時間は15分。質よりも量を重視し、とにかく着眼点を書き出します。普段しない読み方で結構疲れましたが、良いトレーニングになったと思います。



続いて、書き出された着眼点の共有&ディスカッションタイム。バラエティに富んだ他者の着眼点に触れ、多様性は感じることはできました。しかし、着眼点そのものが議論の主題となってしまい、(私にとっては肝心の)「何故そこに着目したのか(理由)」について殆ど言及されず、残念ながら午前の部は消化不良のまま終了しました。



ということで、昼休みに主催者と参加者で話し合い、午後からは少しルールを変更。こうした柔軟さは私も見習いたい。当日変更がきく、ということは、ワークショップの骨組みがしっかりしているからだと思います。

お弁当。私は午前の部で最も多く着眼点を出せたため、優先的にお弁当を選ぶことができました。迷わず山形牛のハンバーグ弁当を選択。



そして午後の部。ディスカッションの進め方は、午前の部と比較すると改善されたと感じたのですが(塾長は「改悪だった」と指摘)、やはりまだ消化不良でした。



とは言え、今回のワークショップはかなりよく出来ていました。主催者の入念な準備があってこそだと思います。進行でストレスを感じる事もなく、最後まで集中できました。また、テーマも良かったと思います。他者の視点を知り、それと自分の視点とを比較することで、個人的に大きなテーマの一つ、相対化も一歩進めることができたように感じました。「着眼点を視覚化して共有する」仕組は読書会やソーシャルリーディングでも応用できるのではないでしょうか。

さて、ワークショップ終了後、消化不良を解消するには何をどうすれば良かったのだろう…と思案を重ねていたら、塾長がご自身のブログに目の覚めるような改善策を提示されていました。

その人の視点や視座の可視化はたしかに難しいんだけど、ぼくがやるなら「何を選ぶか(選ばないか)」をもっとわかりやすくするかな。
たとえば5つの文章を読んでおもしろい順に並べ替えさせてその理由を問うとか、ベストとワーストについて聞くとか。
あるいは同じ映像を見せた後、それぞれ別室に呼んで各自1分で要約させることでどこが印象に残ってるのかを明らかにするとか(もちろんそれも撮影してあとで全員で共有する)。

昨日のは玉石混淆であることを自覚しながら、それを広げただけで終わったので、もう少しそこから玉を拾い上げる工夫がいるだろうな。

そうなのですよね、「何を選ぶか(選ばないか)」が重要なのですよね。当日、面白い視点はいくつかあったのですが、「自分も取り入れたい」と思えるような視点はそれほどありませんでした。ただそれは自分の価値観をもとにしたからであって、他の人の価値観を聞く事で、もしかしたら自分の考え方も変わったのかもしれません。自分の今の視点は自分の価値観をベースに造られたものであるため、これを変えるとなると、まず自分の価値観を変える必要がある、というのは当然の帰結だと思います。自分の価値観を変えなければ、他者の視点の良さを感じることはできません。

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[2010-11-12]

このワークショップを主催したまっちゃんのブログに、テーマ選定の経緯がまとめられています。


背景を知ることで、テーマへの理解も深まると思います。