2010年12月12日日曜日

ツイート記事アーカイブ(2010年11月)

先月から仕事が忙しくなってしまい、あまり多くの記事を読むことはできませんでした。質を担保するにはある程度の量をこなす必要があると考えているため、少々不本意な状況にはあるのですが、できるだけ良い記事をピックアップしてみたいと思います。

まずはメディアに関する記事から。

さとなお氏による記事「100万人にではなく100人に伝える」は、メディア業界に従事しているものとしては是非読んでおきたいところです。ここに書かれている内容は常に心に留めておきたい。


続いてTechCrunch Japanに掲載された記事からメディア関連のものを4本、ご紹介しておきます。


先月前半は尖閣ビデオ関連の記事が、後半はウィキリークス関連の記事が、それぞれ多く目に付きました。ネット発の一次情報は今となってはもうさほど珍しいものではありませんが、ネット発の一次情報がこれほどまでに「マスメディアが発信する情報」に大きな影響を与えたことはこれまでに無かったのではないでしょうか。先月はネットに対するマスメディアの関わり方が変わる大きな転換点になったのかもしれません。ウィキリークスについては今もまだメディアを賑わせていますが、尖閣ビデオについては少し落ち着いてきたこともあり、非常に興味深い論考記事がいくつか出てきています。


尖閣ビデオは日本だけでなく中国でも話題となったようですが、中国においてもソーシャルメディアは確実に浸透してきており、中国国内のメディアを取り巻く状況を大きく変えようとしています。


ウィキリークスについては、今回のアメリカ外交公電漏えい事件が起こる少し前に、ニューズウィーク日本版に掲載された記事がなかなか興味深いものでした。ウィキリークスには良い面だけでなく、悪い面があることも理解しておきたいところです。


ウィキリークスは現在もサイバー攻撃を受けているようですが、これに関連し、朝日新聞グローブに掲載された「サイバー戦争を報道するための手法」に関する記事はなかなか興味深い内容となっています。報道メディアの現場にはテクノロジーに度長けたが人材が今後益々必要になりそうです。


そのほか、気になるメディア業界の動きとしては、メディア王ルパート・マードック氏が率いるNews Corpが米アップルと共同で始める「iPad新聞」。これが成功するかどうかはともかく、今後もこうした動きは世界中で活発化してくることが予想されます。


関連した論考記事。


最後に、メディア以外の話題で気になった記事を何本かご紹介しておきます。


おまけ。世界で頑張る日本人に関する記事を2本。殺伐とした記事が多い中、こうした記事は良いですね。


嬉しくなります。

2010年12月8日水曜日

ジャーナリストエデュケーションフォーラム2010 #jef2010

先日、ガ島通信藤代氏が中心となって運営されているスイッチオンプロジェクト主催によるセミナー『ジャーナリストエデュケーションフォーラム2010~これからの「伝える」の話をしよう~』に参加してきました。開催場所は東海大学の湘南キャンパス。


本セミナーは「全体セッション」「ワークショップセッション」そして「グループディスカッション(学びの共有)」の3部で構成されており、私が受講したのは以下のセッションとなります(詳細については上記ブログ記事をご参照ください)。

  1. 全体セッション
  2. ワークショップセッション1 / ウェブでどこまでできるのか - この瞬間のニュースを深堀し、展開するためのスキルとテクニック
  3. ワークショップセッション2 / ネットで『新聞記事』は読まれない
  4. ワークショップセッション3 / ジャーナリストのためのソーシャルメディア講座
  5. グループディスカッション(学びの共有)

全体セッションでは、スイッチオンプロジェクトが今年の夏に学生向けに開催したイベント『記者体験プログラム』を振り返りながら、『メディアスクラム、誤報、取材拒否… 大学生による記者体験プログラムで何が起きたか、何を学んだか』について、パネルディスカッションが実施されました。取材する側と取材される側、双方の目線や思惑に行き違いがあることが浮かびあがります。私は記者体験プログラムには参加していなかったため、話されている内容が若干分かりにくかったのですが、それでも、主観的に思惑先行で行われる取材、一度大きな流れが出来るとそれに抗えなくなる現場記者、編集デスクと現場記者間のコミュニケーション問題など、様々な要因があるのだと感じることはできました。

全体セッション後のワークショップセッションで、私は全部で8つあるセッションのうち上記3つを受講しました。いずれもディスカッションに力点が置かれていたこともあり、会場からも活発に意見が出ていました。参加者が現場の記者・編集者や学生、研究者の方々など、多岐にわたり、多様な意見を聞くことができました。私自身非常に得るものが多かったので、ワークショップセッションについては後日個別に記事を書いてみたいと思います。

セミナーの最後に実施されたグループディスカッションでは、学生、テレビ番組の制作に携わられている方、そしてポータルサイトを運営されている方と、それぞれが受講したワークショップセッションについて意見交換させていただきました。同じセッションでも、人によって視点が全く異なるため、とても勉強になりました。こうした時間は本当に有益ですね。なので、今回のグループディスカッションは20分程度だったのですが、もう少し長くても良いのでは、と感じました。

ジャーナリストエデュケーションフォーラムについて、他の参加者の方々もブログ記事を書かれています。


当日の様子(ツイート)がTogetterにまとめられています。


ツイッターでもツイートしたのですが、フリーのジャーナリスト、企業に所属しているジャーナリスト、ジャーナリストを目指している学生、ジャーナリズムを支えている人、そしてジャーナリズムに興味がある人など、様々な立場の方たちによる多様な意見や考えはとても新鮮でした。「これからのジャーナリズムについて」のようなシリアスな問題を一人で考えていると、とかく内に閉じこもりやすくなりますが、このような場で色々な人たちと意見を交わすことで、頭をリフレッシュすることができます。また、新たな知見が増える事で、見えてくるものもや得られるものも多いのではないでしょうか。

運営者のみなさま、この度は貴重な場をご提供いただきありがとうございました。

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[2010-12-16]

各ワークショップセッションに関する記事へのリンクを追加しました。

2010年12月7日火曜日

図式の使いどころ

前回の記事で、「コミュニケーションを円滑にするために利用する図式には、ER図やユースケース図、クラス図など目的とフォーマットが決まった図式と、マインドマップやポンチ絵といったフリーフォーマットに近い図式がある」としました。ここではそれぞれの図式の使いどころについて少し補足しておきます。なお、表記を簡略化するため、以下、目的・フォーマットが明確な図式を「定形図式」、フリーフォーマットに近い図式を「非定形図式」とします。

少し大仰な前置きとなってしまいましたが、基本的なスタンスとしては「非定型図式は誤解を与えることが多い。定型図式が使えるときは定型図式を使い、定型図式が使えない場合に限って(仕方なく、かつ慎重に)非定型図式を使う」ということで良いと思います。

非定形図式はフォーマットが決まっておらず、描く人によって表記ルール(例えば線の種類、矢印の向き、文字の囲みの形に与える意味)が異なるため、これを読み解くためには「表記ルールを理解」したうえで「描かれている内容を理解」する必要があります(2つのステップを踏む必要がある)。一方、定型図式では表記ルールが決まっているため、描かれている内容の理解にのみ集中できます。違いはたった1つのステップの有無ですが、コミュニケーション・ロスの発生ポイントを減らせると考えれば、たった1つのステップでも省けるのは実に嬉しいことなのです。

以上を踏まえ、私が普段から心掛けているのは、「定型図式の適用範囲を広げる」ことです。具体的には次のようなことを実践しています。

  1. 定型図式の表記ルールの習得
  2. 定型図式の描画ツールの習熟
  3. 自分が習得した定型図式の普及

ここで結構重要なポイントが3番目の「自分が習得した定型図式の普及」です。どんなに頑張って図式を描いても、それを理解できるのは自分だけ、という状況ではまったく意味がないですからね。有用な定型図式については周りにどんどん広めて行きましょう。

と、このように普段から定型図式の適用範囲を広げておいても、やはりどうしても非定形図式で表現せざるを得ない場面はあります。例えば以下のような場面です。

  • 自分が習得している定型図式では表現できない
  • 自分が使いたい定型図式の表記ルールを、読み手が知らない(かもしれない)

このようなときには、十分に注意して慎重に非定型図式を描くしかありません。しかし上述した通り、これはなかなか難しい。非定形図式を描くための系統的な知識があまり普及していないこともその一因だと思います。少し遠回りになってしまいましたが、第6回mixbeatワークショップはここを出発点にしても良かったのではないかと考えました。

ちなみに、非定形図式を描くポイントはいくつかありますが、前回もご紹介したウルシステムズの林氏による「ポンチ絵の描き方」は非常に参考になります。


最後にちょっと余談。システム開発の歴史は、コミュニケーション・ロスとの戦いの歴史と言っても過言ではないくらい、多くの人がコミュニケーション・ロスを減らすことに心血を注いできました。そしてその歴史の中で、非常に有用な定型図式がいくつも開発されてきました。私はこうした定型図式のうちのいくつかは、一般的にもかなり有用だと考えています。私が技術者以外の方にもお勧めしている定型図式は、UMLユースケース図、UMLシーケンス図、そしてUMLクラス図の3つです。これらは技術者以外の方も習得しておいて損は無いと思います。特にUMLクラス図は素晴らしく、これ(とオブジェクト指向)に習熟するとほぼどのような「もの」でも表現できるようになり、さらには複雑な物事の整理や分析にも役立てられるようになると思います。