2011年1月14日金曜日

自分を知り、お互いを知る

少々報告が遅くなってしまいましたが、1月10日に毎月恒例のmixbeatワークショップに参加してきました。今回のワークショップのテーマは「mixbeatの多様性を実感する」「相対評価の手法を実践し、考え方を学ぶ」の2つで、「塾生間、塾生・スタッフ間の交流を深めるためのきっかけ作り」も意識した設計となっていました。当日のアクティビティは次の2種類です。

  • [午前の部] 当てられたら負け!チーム対抗・アナタのクイズ大会
  • [午後の部] mixbeatのポジショニングマップを書いてみよう!

通常のワークショップは現役の塾生が主催するのですが、今回は新春特別企画ということで、スタッフ(藤田さん)と卒業生(サヨ)による主催で執り行われました。以下、当日の様子とともに、ワークショップの内容をご紹介します。

午前の部はクイズ大会。



事前に参加者全員が一人3問づつ自分にまつわる問題をつくっておき、当日はこれを使って4チームによるチーム対抗のトーナメント制クイズ合戦を実施しました。ゲームルールについては後述するmixbeat活動ブログを参照してみてください。ちなみに私が用意したクイズは以下の3つです。わかりますか?(答えは本エントリの最下部に)





まずは各チームに分かれて作戦会議。問題を提示する順序を決めます。



そして合戦。私が所属したチームは1回戦でからくも塾長が所属するチームを打ち破り、なんとか決勝に進出したのですが残念ながらここで敗戦。決勝戦で出された問題は一問も当てられませんでした。優勝賞品のmixbeat特製タンブラーには手が届かず…



午前の部はここで終了。みんなが用意したクイズはどれも難問ではありましたが(ほとんど分からず)、それぞれの個性が出ていてなかなか面白いものばかりでした。「交流を深めるきっかけ」にはなりそうです。

ランチタイム後の午後の部では、「ポジショニングマップ」というものを作成しました。ポジショニングマップはもともと経営戦略の立案時に自社のポジションや自社製品のターゲットなどを、他社のポジションや他者製品のターゲットと比較し、相対的な立ち位置を把握するために作成するものなのですが、これを人間関係に応用して「(mixbeatにおける)自分のポジションを相対的に把握してみよう」という試みです。



サイコロトークで人となりを把握したうえで、ポジショニングマップを作成します。ここで利用する軸は「ひとの特性」となるのですが、「プラスの言葉⇔反対の意味のプラスの言葉」のセットとなるように意識することがポイントです。また、「身体特性」(背が高い、太いなど)や「身体能力」(足が速い、泳げる)に関する言葉も使わないようにします。



「自分が周りからどのように見られているか」を客観的に知るとともに、「自分の相対的なポジションを把握する」ことの訓練にもなります。もちろん、みんなのことをより深く知るきっかけにもなりました。なお、このアクティビティの出所は『図解 自分のポジショニングのみつけ方』という本のようです。

ポジショニングマップという平面上で表すことにより、「AはBよりも優秀である」といった議論はなくなる。ポジショニングマップは、一つの項目の優劣ではなく、全ての項目を考慮した相対的内地関係を見るためのものだからである。

私はmixbeatに入塾してから「自己を相対化すること」を意識するようになったのですが、午後のアクティビティは「自己の相対化」に繋げていけるのではないかと感じました。相対化については塾長のブログエントリが大いに参考になると思います。


最後に当番のまとめスライドを掲載しておきます。





ワークショップの詳細については、mixbeat活動報告ブログ、及び塾長のブログのエントリをご参照ください。


mixbeatの目的は、性別・世代、背景、価値観の異なる様々な人が集まり、「知識の共有、経験の共有、人脈の共有」を通して、「信頼できるネットワーク作り」を目指す、というもので、これを達成するには塾生間、塾生・スタッフ間で信頼関係を築かなければなりません。そしてその前提として、お互いをより深く知り合う必要があります。今回のワークショップにはこの「お互いをより深く知りあう」ための様々な趣向が凝らされていたこともあり、私にとっては収穫の多い、とても充実したものとなりました。

そしていよいよ3期生のmixbeatワークショップも残すところあと5回。これからが佳境なのですが、一方でそろそろ4期生の応募を始めると思います。もしご興味のある方はお知らせメールにご登録を。活動は結構ハードなときもありますが、その分、本当に多くの事を学べると思いますよ。愉快な仲間もたくさん居ます。



※クイズの答え:①ドイツ / ② 柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺 / ① 1975年

2011年1月7日金曜日

2011年の抱負

少々遅くなってしまいましたが、本年もよろしくお願い致します。

従来メディア企業のビジネスモデルが立ち行かなくなりつつあるなか、去年は1年間「メディア企業の持続可能なビジネスモデル」そして「報道メディアのあるべき姿」について考え続けていました。残念ながら未だにその答えは見つかってはいません。しかし、考えてばかりでは前へは進めず、今年からは少しずつ「行動」に軸足を移していきたいと考えています。また、メディアで働いている、そしてより良いメディアを創りたいと考えている以上、これからももっと「伝えること」について前のめりに考えて行きたいと思います。

自分ひとりでは、たいしたことは出来ない。去年はそのことを思い知らされた一年となりました。

今年は、これからのメディアについて、そして伝えることについて、色々な方々と一緒に考えていければ嬉しい限りです。

2010年12月23日木曜日

2011年のニュースメディア

米ブログメディアMashableに来年(2011年)のニュースメディアを取り巻く状況を予測する英文記事が掲載されています。


本記事では、今年のニュースメディアにおける2大潮流を「モバイルへの適応(多くのニュースメディアが携帯端末向けに情報の発信を開始)」と「ソーシャルへの適応(多くのニュースメディアがソーシャルメディアの活用を開始)」としたうえで、来年(2011年)のニュースメディアにおける10のトレンドを予測しています。米国視点ではありますが、非常に示唆に富む内容でしたので、概略をまとめておきます。正確な情報、あるいは完全な情報については原文をご参照ください。

1. 情報漏洩とジャーナリズム


2010年、ウィキリークスは無数の物議を醸す情報をリークした。2011年にウィキリークスの創始者、ジュリアン・アサンジ氏はいくつかの国から起訴されることが予測される。しかし、仮にウィキリークスが潰されたとしても、新たな「情報漏洩ジャーナリズム」の担い手が出現し、我々は2011年も多くの漏洩情報を目にするだろう。現段階でも既に Openleaks、Brusselsleaks、そして Tradeleaks が存在している。

2011年は情報漏洩ジャーナリズムの担い手同士による競争が激化することが考えられる。情報漏洩のスケールや情報配信技術、ニュースメディアとの連携といった要素がその勝敗を分け、恐らくいくつかの担い手は消え去るだろう。

2. 業界再編


2010年の終わり、TechCrunchはAOLに、NewsweekはThe Daily Beastにそれぞれ買収された。こうした動きによって、新興メディア企業やブログメディアの価値が値踏みされている(高く買収される新興メディアやブログメディアは、それだけ価値が高い)。

2011年、従来メディア企業は引き続き凋落することが予想される。そのため2010年同様、2011年も我々は新たな業界再編劇を目にすることになるはずだ。

3. 携帯端末向けのニュース


2010年、携帯端末から多くのニュースが見られるようになった。今、メディア企業はこの状況を真剣に受け止めている。多くのメディア企業が携帯端末向けのニュース配信サービスを開始するなか、マードック氏のNews Corpは2011年初頭、満を持してiPad向けニュースアプリ「The Daily」を投入する。現時点でiPadは世界累計1570万台が既に販売されており、来年はこれが倍増するものと見込まれている。さらに多くのニュースが携帯端末から見られるようになるだろう。

2011年、より多くのメディア企業が、「ウェブサイト・ファースト(まず第一にウェブサイトについて考え、次に携帯端末について考える)」から、「モバイル・ファースト(まず第一に携帯端末について考え、次にウェブサイトについて考える)」にシフトすることが予想される。

4. 位置情報を利用したニュース


2010年、Forsquare(フォースクエア)やGowalla(ゴワラ)、SCVNGRなど、我々は位置情報を利用した多くのサービスを目にしてきた。FacebookやGoogleといったビッグ・プレイヤーもこの流れ(位置情報をサービスに利用する)に乗っている。現時点では位置情報を利用サービスはあまり普及しているとは言い難いが(たかだか大人のオンラインユーザ全体の4%程度)、今後もますますサービスの質は向上していくだろう。

2011年、より多くのニュースが携帯端末から見られるようになる中、いくつかの位置情報を利用したニュースサービスがスタートすると予想される。仮に従来メディア企業がこの流れに乗らなかった、あるいは開発できなかったとしても、新興企業が同種のサービスの担い手となるだろう。

5. ソーシャルと検索


2010年、世界中でソーシャルメディアの利用率が増加、米国ではフェイスブックは単独で全ページビューの25パーセント、サイト訪問者数の10パーセントを占めた。2011年は「検索エンジン最適化」対策に代わり、「ソーシャルメディア最適化」対策に主軸が移るだろう。

ニュース業界のアナリストによると、フェイスブックやツイッターを中心としたソーシャルメディア経由によるニュースサイトへのアクセスが急激に伸びているようだ。そして、検索エンジン経由の読者よりも、ソーシャルメディア経由の読者のほうが、ニュースサイトにとっては「質の高い読者」になる可能性が高い。

6. 海外特派員の廃止


海外特派員の役割は、2011年にほぼ無くなる可能性がある。ロイターの研究機関による最近の調査によると、これまで海外特派員が担っていた役割は、デジタル・テクノロジーの普及により、「クラウド・ソーシング」のような形で現地市民が担うようになりつつあるようだ。また、アジアやアフリカの情勢が安定するにつれ、現地メディアも力をつけてきた。2011年、多くのニュースメディアは、ソーシャルメディアにアップロードされるコンテンツに、より依存するようになるだろう。

7. ニュースの流通とキュレーション


2011年、現在のニュースの流通モデルは崩壊するだろう。ニュースの再利用が進むと共に、コンテンツ市場は細分化され、「ニッチ」が鍵となってくる。ニッチメディアは、従来のニュースメディアが配信する記事をキュレートし、独自コンテンツの作成に注力するようになるだろう。一方で従来のニュースメディアは、人員削減やコスト圧縮を進めながらも、キュレーターを目指すようになる(流通モデルの整備よりも、コンテンツの開発に力を注ぐようになる)。

この動きはCNN.comやNYTimes.comで既に確認できる。両サイトにあるテクノロジー関連のページには、ニッチなテクノロジー系メディアから集めてきたニュースの見出しやコンテンツが並んでいる。従来メディアにはこれまでに培ってきた信頼性があり、こうしたキュレーション・メディアではこれが有効に働く(キュレートされたコンテンツに対する信頼性が高い)。

8. ソーシャル・ストーリーテリングの実現


2010年、ソーシャルメディア上のコンテンツが「文脈」を持つようになってきた(ソーシャルメディア上で、ニュースの意味や重要性などを示唆してもらえる、あるいは把握できるようになってきた)。

2011年は多くのテクノロジー企業がキュレーション・ビジネスへ参入することが予想される(ここでのキー・プレイヤーとして、フェイスブックやツイッターが名乗りを上げても不思議なことではない)。そしてその結果、我々はソーシャルによって形成された(ソーシャル・ストーリーテリングされた)文脈や、ノイズの中にある必要な情報に、効率よくアクセスできるようになるだろう。

9. ソーシャルメディアの浸透


2010年、ニュースメディアはソーシャルメディアに真剣に取り組みはじめた。USA Today、The New York Timesを筆頭に、多くのニュースメディアがソーシャルメディアを扱える編集者を雇ってきた。

2011年、ソーシャルメディアはニュースメディアのビジネス戦略にさらに深く組み込まれるようになるだろう。これまで以上にソーシャルメディアを扱える編集者を増やすことが予想される。ソーシャルメディアの扱いもより高度になっていくはずだ。報道業務の様々なシーンにおいて、ソーシャルメディアが利用されるようになるだろう。

10. インタラクティブTVの勃興


2010年に話題になり始めたインターネットTVは、2011年になると浸透し始め、従来TVによって独占されていた広告シェアを徐々に侵食しはじめるだろう。また、インターネットTVの利用者が増えることで、映像コンテンツもより一層消費されるようになる。

テレビへの接し方も徐々に変わってくることが予想される。テレビを見ながらインターネットを利用する、特にツイッターやフェイスブックで反応しながら、インタラクティブにTVを見る層が厚くなるだろう。

2011年のキーワードは「モバイル」「ソーシャルメディア」そして「キュレーション」になるのでしょうか。

日本のメディア業界にとっても、激動の一年になるかもしれません。