2010年5月7日金曜日

「伝える技術」を学ぶ

総務省統計局の調査によると2008年時点で情報流通量に対する情報消費量はおよそ530分の1で、99パーセント以上の情報は誰の目にも触れることなくただ存在しているだけ、というのが現状です。情報の選択権は完全に読み手に移りました。

個人・企業を問わず情報の出し手は「自分(自社)が発信した情報を選択してもらい、じっくり読んでもらう」ことに一層注力せざるを得ません。メディア企業にとっては自社が発信した情報を選んでらえるかどうかは死活問題です。また、たとえ今は選んでもらえているとしても、一方的な情報ばかり発信していては読み手には何も伝わらず、いずれ選んでもらえなくなるのは明白です。つまり情報の出し手は今以上に自分(自社)の「伝える技術」を磨き上げる必要があるのです。

このように「伝える技術」は重要である一方、これを学ぶ場が少ないのが現状です。「伝える」ことが本業のマスメディア業界においてさえもOJT(On the Job Training)に頼っている企業がほとんどで、「伝える技術」を系統立てて学べる場を確保できている人は少ないのではないでしょうか。

このような状況を憂慮し、「ガ島通信」の藤代氏(@fujishiro)が中心となって展開されているのがスイッチオン・プロジェクトです。本プロジェクトの問題意識は次の通りです。
  • OJT頼りのジャーナリスト教育(系統だった実践的教育プログラムを受ける場が少ない)
  • ジャーナリズムの「あるべき論」ばかりが先行し、現場はどうして良いのかわからない
  • ジャーナリストが寄って立つ「伝える」ための技術的なフレームワークが存在しない
こうした問題意識を背景に、先日、スイッチオン・プロジェクト主催の合宿セミナー「ジャーナリストキャンプ2010」が開催され、私も参加してきました。
本セミナーの目的は次の通りです。
伝わる情報を発信するためのプロセス、すなわち「伝える技術」をフレームワーク化し、アクティビティを通して意識的・理論的に「共に」学ぶ。
「伝える技術」で肝となるのが「読者を理解すること」です。本合宿セミナーでは「読者を理解すること」について、「自己紹介・他己紹介」「新聞社へプレスリリースを売り込むロールプレイ」「ゲスト講師陣とのトークセッション基に実際に新聞記事の企画を作成する」といったアクティビティを通して徹底的に考させられます。

なお、ゲスト講師の方々からは、普段は決して聴くことができないとても貴重な話をお聴きすることができました。別の記事として是非まとめてみたいと思います。
  • 山内英子氏 - 医師(聖路加病院勤務)
  • 川上量生氏 - ドワンゴ会長
本セミナーには新聞各社に在籍されている記者・編集者の方以外にも、フリーライターやマーケター、研究者など様々な職種の方が参加、皆様の問題意識の高さや視点の多様性を肌で感じ、大いに刺激となりました。ここで学んだ「伝える技術」について、これからも自分なりに考え、実践していきたいと思います。

「伝える技術」を学ぶことにご興味を持たれた方は、是非一度スイッチオン・プロジェクトにアクセスしてみて下さい。

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[2010-05-07 10:35]
藤代氏のブログ「ガ島通信」に「ジャーナリストキャンプ2010」の総括記事が掲載されています。
こちらも参考になります。

[2010-05-10 14:31]
藤代氏のブログ「ガ島通信」に「ジャーナリストキャンプ2010」の参加者の方々のブログ記事が紹介されています。
生の声も参考になります。