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2010年5月3日月曜日

#book 未来を予測する

2020年 - 中国が分裂の危機
2020年 - ロシア-アメリカ間で第二次冷戦勃発
2050年 - 日本とトルコがアメリカと戦争
2100年 - メキシコ-アメリカ間で北米大陸の覇権を掛けた戦争が勃発
この未来予測は荒唐無稽なものでは無く、米国のインテリジェンス企業(「インテリジェンス企業」というものを始めて知りました)ストラトフォーのジョージ・フリードマン氏が自著の中で地政学的な観点から予測したものです。
ウィキペディア(2010年05月03日現在)では地政学について以下のように解説されています。
地政学とは地理的な環境が国家に与える政治的、軍事的、経済的な影響を巨視的な視点で研究するものである。イギリス、ドイツ、アメリカ合衆国等で国家戦略に科学的根拠と正当性を与えることを目的とした。
すなわち、国の場所や政治、人口動態、過去の歴史といった「国を形成する遺伝子的なもの」をインプットに、世界各国間の相互作用を研究する学問で、著者はこの分野のオーソリティとして米国では有名なようです。

本書では他にも地政学的な観点から次のような予測がなされています。
  • 今後100年はアメリカの時代
  • 中国、ロシアは大国にはなり得ない(衰退する)
  • フランス、ドイツは衰退する
  • 日本、トルコ、ポーランドに加えてメキシコが大国となる(可能性を秘めている)
これだけ聞くとなかなか信じ難いのですが、本書を読むことである程度納得できてしまいます。本書の目的は100年後の未来を予測することではなく、世界の国々に対して現在どのような力学が働いているのかを知り、それが今後どのような影響をもたらすのかをある程度把握するところにあり、上記は本質的な部分では無いにしても、非常に刺激的です。

なお、著者の日本に対する認識は次の通りです。的確であると感じました。
(P213)
日本が大きな社会変革を基本的価値を失わずにいられるのは、文化の連続性と社会的規律を併せ持つからである。短期間のうちに、しかも秩序正しいやり方で、頻繁に方向転換できる国はそうない。日本にはそれが可能であり、現に実行してきた。
本書後半は年代がかなり進むため、現時点との乖離が大きく、個人的には少々興味をそがれてしまったのですが、それでも十二分に楽しめると思います。