2010年11月8日月曜日

文章を読み取る力をつける

毎月恒例のmixbeatワークショップ、今月のテーマは「文章を読み取る力をつける」でした。人によって経験や知識、感性は異なるなめ、同じ文章を読んでも文章の読み取り方、例えば気付くことや思うこと、疑問を持つことは様々です。本ワークショップの狙いは、この「文章の読み取り方(着眼点)」の違いを可視化し、自分と他者を比較しながら他者の良い部分を取り入れることで、最終的に文章を読み取る力をつけよう、というものです。

ワークショップのおおまかな流れは以下の通り。

  1. 参加者全員で一斉に同一文章を読み、着眼点を制限時間内に書き出す
  2. それぞれが書き出した着眼点を参加者全員で共有する
  3. 共有された着眼点をもとに参加者全員でディスカッションする

当日はこれを2回実施しました。詳細については『mixbeat活動報告ブログ』を是非ご参照ください。


ここからは少し当日の様子をご紹介します。

まずはルールの説明から。



一通り質疑応答を終えたら、いざ実践。A4用紙で2~4ページぐらいの比較的短い文章を一斉に読みはじめ、着眼点を書き出します。この日提示された文章は「旅行記」「教科書からの抜粋」「専門雑誌の記事」など、普段殆ど読まない類のものばかり。参加者全員にとってあまりなじみの無い文章が良い、との判断から、こうした文章が選択されました。制限時間は15分。質よりも量を重視し、とにかく着眼点を書き出します。普段しない読み方で結構疲れましたが、良いトレーニングになったと思います。



続いて、書き出された着眼点の共有&ディスカッションタイム。バラエティに富んだ他者の着眼点に触れ、多様性は感じることはできました。しかし、着眼点そのものが議論の主題となってしまい、(私にとっては肝心の)「何故そこに着目したのか(理由)」について殆ど言及されず、残念ながら午前の部は消化不良のまま終了しました。



ということで、昼休みに主催者と参加者で話し合い、午後からは少しルールを変更。こうした柔軟さは私も見習いたい。当日変更がきく、ということは、ワークショップの骨組みがしっかりしているからだと思います。

お弁当。私は午前の部で最も多く着眼点を出せたため、優先的にお弁当を選ぶことができました。迷わず山形牛のハンバーグ弁当を選択。



そして午後の部。ディスカッションの進め方は、午前の部と比較すると改善されたと感じたのですが(塾長は「改悪だった」と指摘)、やはりまだ消化不良でした。



とは言え、今回のワークショップはかなりよく出来ていました。主催者の入念な準備があってこそだと思います。進行でストレスを感じる事もなく、最後まで集中できました。また、テーマも良かったと思います。他者の視点を知り、それと自分の視点とを比較することで、個人的に大きなテーマの一つ、相対化も一歩進めることができたように感じました。「着眼点を視覚化して共有する」仕組は読書会やソーシャルリーディングでも応用できるのではないでしょうか。

さて、ワークショップ終了後、消化不良を解消するには何をどうすれば良かったのだろう…と思案を重ねていたら、塾長がご自身のブログに目の覚めるような改善策を提示されていました。

その人の視点や視座の可視化はたしかに難しいんだけど、ぼくがやるなら「何を選ぶか(選ばないか)」をもっとわかりやすくするかな。
たとえば5つの文章を読んでおもしろい順に並べ替えさせてその理由を問うとか、ベストとワーストについて聞くとか。
あるいは同じ映像を見せた後、それぞれ別室に呼んで各自1分で要約させることでどこが印象に残ってるのかを明らかにするとか(もちろんそれも撮影してあとで全員で共有する)。

昨日のは玉石混淆であることを自覚しながら、それを広げただけで終わったので、もう少しそこから玉を拾い上げる工夫がいるだろうな。

そうなのですよね、「何を選ぶか(選ばないか)」が重要なのですよね。当日、面白い視点はいくつかあったのですが、「自分も取り入れたい」と思えるような視点はそれほどありませんでした。ただそれは自分の価値観をもとにしたからであって、他の人の価値観を聞く事で、もしかしたら自分の考え方も変わったのかもしれません。自分の今の視点は自分の価値観をベースに造られたものであるため、これを変えるとなると、まず自分の価値観を変える必要がある、というのは当然の帰結だと思います。自分の価値観を変えなければ、他者の視点の良さを感じることはできません。

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[2010-11-12]

このワークショップを主催したまっちゃんのブログに、テーマ選定の経緯がまとめられています。


背景を知ることで、テーマへの理解も深まると思います。