Pages

2010年10月18日月曜日

教育とソーシャルメディア

はてながリリースした小中学生向けのSNS『はてなランド』が、サービス開始後わずか2週間で終了してしまいました。


はてなのHPには「ユーザーの皆様が安心して楽しんで頂けると同時に、保護者の皆様にも安心してお子様に勧めて頂けるサービスとして運営していくために、サービス内容を一から見直し、新たに別のサービスとして検討をしていく方針とさせて頂きました」とありますが、終了の詳細な理由については今もって明らかにされていないようです。

国内における学校教育、特に小中学生向けのソーシャルメディア利活用の事例はこれまであまり聞いたことはありませんでした(もしご存知の方がいらっしゃれば是非ご一報ください)。ソーシャルメディアに対するマイナスイメージが先行しているせいなのでしょうか。教える側のソーシャルメディアに対するリテラシが追いついていない、という理由も考えられます。

米国では学校教育の現場にソーシャルメディアが徐々に浸透してきているようです。米国のブログメディア Mashable に先月ポストされた記事「The Case For Social Media in Schools / 学校教育におけるソーシャルメディアへの取り組み」に、オレゴン州のある中学校の事例が紹介されていました。この中学校では、学校教育にソーシャルメディアを導入することによって、登校拒否の生徒数を3分の1まで減らすことに成功したようです。


学校教育にソーシャルメディアを組み込むことについては米国でも賛否両論で、その是非を巡って今も議論は続いているようです。反対意見も多いようですが、本記事ではそれでもなお、ソーシャルメディアを学校教育に組み込んだ方が良いのではないか、と提起しています。以下、本記事に掲載されている「学校教育にソーシャルメディアを組み込むべき理由」をご紹介します。

  1. ソーシャルメディアは社会の一部になってきている
    現在既に(米国の)4分の3の中高生は何らかのソーシャルメディアに参加しており、現在小学生の子供たちが社会に出る頃には、今以上にソーシャルメディアは社会に浸透しているだろう。そしてこの趨勢に対抗することはできない。であれば、学校教育でもソーシャルメディアと戦うのではなく、ソーシャルメディアを受け入れる方向で考えてみてはどうだろうか?
  2. より良く学べるようになる
    ブログを介して先生と生徒が意見を交換させている事例がある。ミネソタ州で小学校3・4年生を受け持っている Matt Hardy は、学校教育にブログを導入したことで、生徒から活発な意見が出てくるようになった、と話す。これまでは「先生-生徒」間に閉じていたやりとりを、他の生徒にもオープンにすることで、生徒は自分の意見を「先生に見てもらうこと」だけでなく「他の生徒にも見てもらうこと」も意識するようになったようだ。
  3. 安全かつ無料の子供向けソーシャルメディアが存在する
    多くの(米国の)学校ではフェイスブックやマイスペースへのアクセスが制限されている。しかしその一方で、kidblog.org のような無料で、かつ安心して利用可能な学校教育専用のソーシャルメディアも登場してきている。
  4. 子供たちの時間の使い方を改善する
    子供たちがインターネットに費やす時間は年々増加している。こうした状況を有効に活用、すなわちこの時間に学校側が用意したソーシャルメディアを利用してもらう、という戦略はどうだろうか?ソーシャルメディア上に先生が「子供たちに議論を促すための議題」を定期的に提示することで、フェイスブックやマイスペースに費やしていた時間を減らすことに成功した事例も報告されている。
  5. 協調性の向上を促進する
    人は社会に出ると他の人と協調しながら仕事を進めなければならない。しかしその一方で、これまでの学校教育では「人と協調する」ことを学ぶ機会はとても少なかった。このギャップを埋める目的で、ソーシャルメディアが活用できるのではないだろうか。

日本の状況はどのようになっているのでしょうか?残念ながら身のある関連情報は見つけられませんでした。小中学校におけるパソコンやインターネットの普及率(文部科学省の資料参照)を見ていると少し心配になってきます。議論だけでもなされていれば良いのですが。