2010年10月15日金曜日

キュレーションの必要性

イタリアのコミュニケーションデザイナー Robin Good(@RobinGood)氏のブログ MasterNewMedia において、現在、キュレーションに関する記事が連載されています(※10月15日までに全7本のうち6本までアップされています)。本連載の第1回目で、キュレーション(リアルタイム・ニュース・キュレーション)が必要な理由について次のようにまとめられていました。


  1. 情報の量は日々凄まじい勢いで増え続けている
  2. ブログやメディアサイト、新たなソーシャルメディアなど、情報チャンネルも日々増え続けている
  3. 情報を発信する個人も増え続けている
  4. 貴重な情報が増える一方、スパムや広告など不要な情報も増え続けている
  5. ツイッターなどのソーシャルメディアで広まる情報には不確かなものや品質が低いものも多い
  6. ネット初心者にとって、マーケターやスパマーから発信される情報の真贋を見抜くのは難しい
  7. 情報の真贋を見抜くのは高度なスキルであり、さらにそのスキルで対応するとしても不要な情報があまりにも多すぎる
  8. コンテンツに付与されるタイトルやメタ情報の中には、間違ったものや誇張されたものも含まれている
  9. 人が情報収集に使える時間には限りがある
  10. 特殊なスキルを持たない限り、新しい情報源やニュースに辿りつくのは難しい
  11. 特定の情報源からのみ情報を取得していては視野が狭くなる
  12. ニュースを読み解くにはその背景にある情報も必要となってくる

Robin Good氏は、こうした状況下で事態を打開するには(自分にとって必要な情報だけを多大な時間・コストを掛ける事無く集めるには)、GoogleニュースやRSSリーダ、ツイッターやフェースブックなどのソーシャルメディアでは難しく、キュレーションが必要不可欠であると示唆しています。

ここでは、既存のサービス、特にソーシャルメディアでは事足りない理由として、以下の8点を挙げています。

  1. 自分が必要とする情報の発信者を見つけるのは楽な事ではない
  2. 自分が必要とする情報を発信する全ての情報源を日々フォローするには、多大な労力が必要となる
  3. 複数の情報源から情報を集める場合、重複する情報を排除する労力が必要となる
  4. 個人が発信する情報には、しばしば自分が必要としない個人的な情報が含まれている
  5. 個人が発信する情報には断片的なものが多く、例えば背景情報を知るためには別の情報源を調査する必要が出てくる
  6. オリジナルの情報源を見分けるのが難しい
  7. 常に信用できるわけではない
  8. 単に共有されるだけの情報から、付加価値が与えらる情報まで、キュレーションのレベルは人によって異なる

そしてキュレーションは、ユーザにとっては「多くの時間を節約できる」「自分が興味のある分野の重要な情報を見逃さないようになる」「情報の信頼性を一々気にする必要がなくなる」などの恩恵があり、キュレーターにとっては「他人には真似できないオリジナルの情報発信チャンネルを確立できる」「特定分野のオーソリティになることができる」「無駄なコンテンツ(記事)を作成する必要がなくなる」などの恩恵がある、としています。

ITジャーナリスト・佐々木俊尚氏が発行されているメルマガ「佐々木俊尚のネット未来地図レポート」の106号(8月30日号)では、キュレーションの必要性について次のように言及されています。

ネットの情報の質も量も爆発した結果、必然としてマスメディアの記事の重要性は相対的に低下してきました。読者・視聴者の側も情報があふれかえってしまって「おなかいっぱい」の状態になっているわけです。そうなると読者の側にとっては、一次情報を次から次へと与えられることよりは、それら多くの情報の中から良い情報を選別してくれる方がありがたい、というような気持ちになってくるのは当然の流れでしょう。つまり、読者にとっては情報を提供してくれるメディアよりも、情報を選別してくれるサービスの方が価値が高いという逆転現象が起きてくるということなのです。

だからこそキュレーションという概念に注目が集まるようになり、以前よりもアグリゲーションサイトの重要性が高まってきています。

アメリカでは既にキュレーションを実践しているメディアが出てきているようですが、日本ではまだまだのようで、ビジネスチャンスはありそうです。キュレーターを支援するためのサービスも登場したようですね。


キュレーションについては、過去のエントリもご参照ください。


MasterNewMediaに掲載されているキュレーションに関する残りの記事の内容についても、今後ご紹介できればと考えています。