ボランティア情報に限った話ではありませんが、ITジャーナリストの佐々木俊尚氏や、mixbeat/smashmediaの河野武氏も同様の問題を指摘されています。
■ 佐々木俊尚氏 / いまIT業界に求められていること - CNET Japan
[いまの問題点]
- 同時に複数できあがってきている被災地支援ウェブサイトの間で、情報が分散されてしまっている。
- 被災地のアナログ情報がうまく取り込めていない。
- せっかく収集・整理した情報が被災地に送り届けられていない。
■ 河野武氏 / この震災とソーシャルメディア - smashmedia
ネットのアーカイブ性という強みはそこにいつでもアクセスできるからこそ恩恵を受けれるわけで、現在の被災地ではなかなかそういうわけにもいかない以上、どうやってアナログな情報に変換するか(具体的には大きな紙に印刷して掲示することで同等のアーカイブ性を担保する)、また現地のアナログな情報をデジタルに変換するかの部分に知恵と工夫と人力が求められている。
すなわち、デジタル・アナログ問わず「情報が分散してしまっている(一か所に集約されていない)」「情報の出し方が、受け方に合っていない」ために、「情報が、それを必要としている人に届いていない」のが現状、という見方です。
これはボランティア情報にも当てはまります。ボランティア情報は通常、都道府県・市区町村や社会福祉協議会のHP、あるいは企業やNPO/NGO団体のHPに分散して掲載されていたり、そもそもインターネット上に無い、あるいはデジタル化されていないケースも多々あります。ボランティア情報をまとめるウェブサイトは散見されてますが、網羅的なものは残念ながら存在していません。また、ボランティア情報が分散されたままでは、ボランティアを募集する団体の情報発信力の違いがそのまま応募人数の違いとなってしまいます。激甚災害に見舞われた地域では今後特にボランティアが必要となるはずですが、震災の影響で情報発信力も落ちているため、ボランティアを募集したとしても、その情報がボランティア希望者に届かなくなる、といった懸念が当然残ってしまいます。
こうした状況に対応するため、VISは以下の2つの方針を運営戦略の柱としています。
- 情報発信力を高める
ボランティア情報を集約したうえで外部から参照できるようにし、より多くのプラットフォーム(有力ポータルサイトやスマートフォンアプリなど)からボランティア情報を閲覧できるようにする - 情報収集力を高める
ボランティア情報登録のハードルを低くしたうえでより多くの人にボランティア情報を登録してもらうようにし、アナログ情報も極力拾えるような体制を整備する
VISは発足当初、ボランティア情報を発信するためのウェブサイトを自分達で運営していました。しかしこのウェブサイトだけでは「ボランティア情報が、それを必要としている人に届いていない」といった状況を打破することはできないと考え、早い段階で情報のDB化に着手し、強力な情報発信力を持つウェブサイトで利用してもらうような体制作りを勧めました。そして多くの方々のご尽力の結果、VISで管理しているボランティア情報は、現在までにYahoo! JAPAN、Gooといったポータルサイトや震災関連情報のまとめサイトsinsai.infoの他、Androidアプリでも検索・閲覧できるようになり、より多くのボランティア参加を希望する方々にお届けできるようになりました。
- 復興支援サイト / 現地発 ボランティア(NPO・NGO等)情報ホットライン - Yahoo! JAPAN
- 東日本大震災 ボランティア情報 - goo
- レポート一覧 - sinsai.info
- Androidアプリ / 助けあいジャパン ボランティア情報ステーション
またその一方で、ボランティア情報の入力を、様々な団体にお願いさせていただき、その輪は徐々に広がりを見せています。ボランティア情報は今後益々増えることが予想されるため、「ボランティア情報を漏れなく集約する」ためにもこうした活動は重要になってきます。
私は既に一線を退きましたが、VISは今、マッシュアップサイトの拡充やiPhone/iPadアプリへの展開などを視野に入れながら、最終的にはボランティア情報の出し手がボランティア情報を直接仕組に登録できるような体制を実現させるべく、活動を続けています。