2010年9月15日水曜日

「自分の考えを伝えること」の難しさについて

私は今年6月に、ブログ「smashmedia」や「マーケティングis.jp」の運営者である河野さん(@smashmedia)が主催されている私塾mixbeatに第3期生として入塾、これまでに3回のワークショップに参加しました(3回のうち1回は私が主催、そして見事に失敗)。


さて、第3回のワークショップのテーマは「伝える力~メールのコミュニーケーションで伝え上手になる~」だったのですが、日頃から(最近は特に)「伝えること」の難しさを感じていたので、本ワークショップは「伝えること」について改めて考える非常に良い機会となりました。本ワークショップの内容や様子については以下のブログ記事をご参照ください。


本ワークショップでは「メールに費やす時間、長くないですか?」「メールの内容、誤解されていませんか?」といった普段のビジネスメールのやりとりにおけるちょっとした問題にスポットを当てていたのですが、私はこれを機に改めて「伝えることが難しいな」と感じているシーンについて考えてみました。

私は「情報システム部門のエンジニア」という職業柄、社内の情報システムに対する要望をまとめたり、それをシステム構築会社に説明したりと、普段から多様なビジネスパーソンとビジネスメールのやりとりをしていますが、ここではさほど問題を感じたことはありません(なので、それほど不器用なわけではないと思います)。

しかし、それ以外の何かを伝えるシーンでは、結構苦労します。例えば家族や友達に自分の仕事の内容を説明したり、自分が読んだ本の内容を説明したりするときなどです。不特定多数の読者を対象としたブログ記事を書くのにも苦労します。つまり、私が「伝えるのが難しいな」と感じるのは、「自分とは文化の異なる人に自分の考えを伝える」ときではないかな、と考えました(ここで言う「文化」には「職種」「専門」「興味」などが当てはまります)。仕事で出会う人の文化は自分の文化と似ている傾向がありますからね。

ということで、自分の問題は「文化が違うと伝わりにくくなるのは当然で、これを乗り越えるだけの"伝える技量"が足りない」だと定義してみました。

具体的には例えば「抽象化」。私達は複雑なもの・ことを説明する際、聞き手の理解を促進するために「抽象化」の技術を使いますが、抽象化されたものが相手の文化にそぐわず、逆に相手が???となってしまうことがままあると思います。このケース、私はよくあります。抽象化のスキルを上げたいなぁとはいつも思います。

専門用語の乱用も同じですね。相手のことをあまり知らないうちは、横文字や短縮英語の利用は控えるようにするようにしたいところです。ただ、専門用語って説明するの難しいですよね?私は抽象的にものごとを捉えてしまう傾向があるため、「だいたいこんな感じの意味だろう」ぐらいの理解でついつい使っていました。相手が同程度以上の理解を持ち合わせていればそれで通じるのですが、文化が異なる相手だとそうはいきません。ふたりそろって???になってしまいます。と、いうことで、「専門用語(などの難しい言葉)をわかりやすく説明できるようになりたい」ともいつも思います。

みなさんはどうでしょうか?何か良いアドバイスがあれば是非お願いします。

最近テレビなどでご活躍されている池上彰氏の説明力は本当に素晴らしいなと思います。ということで、氏の著書「伝える力」もお勧めです。


※ mixbeatでは第4期生を募集します!ご興味のある方は是非こちらでメールアドレスの登録を!

2010年9月14日火曜日

#book 少し、哲学を。

「難解すぎて意味不明」「机上の空論ばかりで役立たず」「結局結論は何も出ない」これが哲学に対する私の偏見でした。そして、こうした偏見を見事に吹き飛ばしてくれたのが、マイケル・サンデル氏の『これからの「正義」の話をしよう』です。本書では、ベンサムやカント、ロールズ、アリストテレスなど、主だった哲学者の哲学理論(政治哲学理論)が、徴兵制や人種差別、同性婚、格差問題、代理出産、妊娠中絶、肝細胞など、さまざまな事例を元に解説されているのですが、これが実にわかりやすい。


本書の趣旨は「いまの正義とは何か」について考えることですが、著者は現在のように多様化が進んだ世界では、単一の考え方、単一の哲学理論で正義を判断するのは難しいとしています。そして、だからこそオープンに、タブーを乗り越えて議論をする必要があり、議論を重ねることではじめて公正な社会を作ることができると論じています。

P335

公正な社会は、ただ効用を最大化したり選択の自由を保証したりするだけでは、達成できない。公正な社会を達成するためには、善良な生活の意味をわれわれがともに考え、避けられない不一致を受け入れられる公共の文化をつくりださなくてはいけない。

所得、権力、機会などの分配の仕方を、それ一つですべて正当化できるような原理あるいは手続きを、つい探したくなるものだ。そのような原理を発見できれば、善良な生活をめぐる議論で必ず生じる混乱や争いを避けられるだろう。

だが、そうした議論を避けるのは不可能だ。正義にはどうして判断がかかわってくる。(中略)正義の問題は、名誉や美徳、誇りや承認について対立するさまざまな概念と密接に関係している。正義は、ものごとを分配する正しい方法にかかわるだけではない。ものごとを評価する正しい方法にもかかわるのだ。

公正な社会を築いていくには、我々一般市民がもっと政治に興味を持ち、意見を発信していく必要があるかもしれません。本書については@SeaSkyWindさんによるブログ記事が大いに参考になると思います。


本書を読み終えて、純粋に哲学が面白くなってきました。まずは本書で触れられているカント、ベンサム、ロールズ、アリストテレスなどの本を読んでみたいですね。個人的にはカント、ロールズに強い興味を抱くようになりました。お勧めの本があれば、是非教えてください。

最後に、読みながらふと浮かんだ疑問。

日本の政治家は、自分の政治哲学を持っているのだろうか?

2010年9月7日火曜日

#book ユリイカ的電子書籍

少し前に会社の後輩から勧められて購入したユリイカの電子書籍特集、ほぼ一冊まるごと電子書籍に割かれており、なかなか読み応えがありました。


この中で私がちょっと気になったのは、詩人・山田亮太氏によるエッセイ「書物は存在可能か 電子書籍でつくってみたい50の本」にあった電子書籍のアイディアです。これが斬新と言いますか、意表を付いていて面白い。例えば…

  • 購入後一週間たたないと読めない本
  • 一日に一ページだけ読める本
  • 持ち運べない本
  • 絶対に読み終わらない本
  • 開くたびにランダムに異なるページが表示される本
  • 読み終えたページが消える本
  • 一冊しかない本
  • 一ページ一円本
  • 買われれば買われるほど高くなる本
  • 一日一冊限定オークション販売される本

私の硬い頭からは出てこない柔軟なアイディアが多数。「一冊しかない本」なんてちょっと面白いですよね。だれかが読んでいる間他の人は読めない…内容はなんだろう…読める人はどう決めようか…早い者勝ち…くじ引き…なんて勝手に想像を膨らませてしまいました。

本書には他に京極夏彦氏、佐々木俊尚氏、堀江貴文氏のインタビュー記事や、小説化、編集者、研究者らによるエッセイなどが掲載されており、これらを通して電子書籍に対する多様な価値観に触れることができます。私は仕事柄、普段はどうしても電子書籍をビジネス視点からばかり見てしまいがちですが、たまに文化的・歴史的な側面や、未来予想などについて考えてみるのも悪くないですね。

2010年9月4日土曜日

#book ビジョンとは?

最近読んだ「ザ・ビジョン」という本にビジョンについて非常に分かり易く書かれていたので、ここにまとめておきます。


本書ではビジョンを「自分は何者で、何をめざし、何を基準にして進んでいくのかを理解することである」と定義したうえで、ビジョンを生み出すための要素を以下のように定義しています。

■ 説得力あるビジョンを生み出すための三つの基本要素

  • 有意義な目的
  • 明確な価値観
  • 未来のイメージ

そして「説得力あるビジョンを生み出すための三つの基本要素」それぞれについて、以下のように定義しています。

■ 目的とは何か

  1. 目的とは、組織の存在意義である
  2. 目的とは、単に事業の内容を述べたものではなく、「なぜ」という問いに答えるものである
  3. 目的とは、顧客の視点に立って、その組織の「真の使命」を明らかにしたものである
  4. 偉大な組織は深遠で崇高な「目的」、すなわち社員の意欲をかきたて、やる気を起こさせるような、「有意義な目的」を持っている
  5. 表面的な言葉づかいより、そこから人々に伝わる「意味」のほうが重要である

■ 価値観とは何か

  1. 価値観とは、目的を達成する過程で、どう行動していくべきかを示す、ゆるやかなガイドラインである
  2. 価値観とは、「自分は何を基準にして、どのように生きていくのか」という問いに答えるものである
  3. 価値観の内容を具体的に明らかにしないかぎり、どんな行動をとれば価値観を実践できるかはわからない
  4. つねに行動を伴うものでなければ、価値観は単なる願望にしかならない
  5. メンバーひとりひとりの価値観と、組織の価値観とを一致させなければならない

■ 未来にイメージとは何か

  1. 未来のイメージとは、最終結果のイメージ。あいまいではなく、はっきりと思い描けるイメージである。
  2. なくしたいものではなく、つくりだしたいものに焦点をおく
  3. 最終結果に到達するまでのプロセスではなく、最終結果そのものに焦点をおく

さらに、作り上げたビジョンが説得力を兼ね備えているかをチェックするための「チェックリスト」。

■ 説得力あるビジョンかどうかを確かめるためのチェックリスト

  • そのビジョンは、自分達の使命をはっきりさせてくれるか
  • そのビジョンは、日々の決断を正しく行っていくための指針になりうるか
  • そのビジョンは、めざすべき未来を目に見えるような形で描いているか
  • そのビジョには永続性があるか
  • そのビジョンには、ライバルに勝つというだけではない、何か崇高なものがあるか
  • そのビジョンは、数字の力を借りずに、人々に活気を吹き込むことができるか
  • そのビジョンは、あらゆる人の心と精神に訴えかけるか
  • そのビジョンは、ひとりひとりに自分の役割を自覚させるか

本書では本書で定義したビジョンを実際に創造、伝達、実践するところまで描かれています。ということで、あとは実践あるのみ。

2010年9月2日木曜日

近況報告

ここ3ヶ月ほど心理的に余裕のない毎日を送っていたのですが、今週に入って徐々に落ち着いてきました。ということでツイッターを再開、長らくスローペースになっていたブログの更新も少しペースアップしようと思います。まぁこれに懲りて今後は余裕の無い状況を作らないようにしたいですね。

さて、簡単に近況(余裕の無さを生んだ原因)を報告しておきます。ここ3ヶ月で僕にとって一番大きなイベントは私塾mixbeatへの入塾と、そこでのワークショップの主催です。mixbeatについてはこれからこのブログでも少しずつ触れていこうと思いますので、とりあえずここでは紹介するだけにとどめておきます。


そしてもう一つ。前回の記事でご紹介した「8月15日を撮る」というプロジェクトで、サイトの作成を請け負っていました。作業量がなかなかのボリュームで苦労も多かったのですが、その分学んだ事も多く、非常に良い経験となりました。これについては後日まとめ記事を書きたいと思います。準備期間が短く十分な宣伝が出来なかったのですが、面白い写真が多数集まりましたので、もし良ければ見てやってください。


会社では新規メディア事業の立ち上げに携わっていましたが、これも何とかカットオーバーを迎える事ができたので、公私ともに落ち着いた状況となりました。

9月に入り今年も残すところあと4ヵ月。これからは自分自身の目標に向かうことを最優先に物事を進めたいと思います。