本書ではビジョンを「自分は何者で、何をめざし、何を基準にして進んでいくのかを理解することである」と定義したうえで、ビジョンを生み出すための要素を以下のように定義しています。
■ 説得力あるビジョンを生み出すための三つの基本要素
- 有意義な目的
- 明確な価値観
- 未来のイメージ
そして「説得力あるビジョンを生み出すための三つの基本要素」それぞれについて、以下のように定義しています。
■ 目的とは何か
- 目的とは、組織の存在意義である
- 目的とは、単に事業の内容を述べたものではなく、「なぜ」という問いに答えるものである
- 目的とは、顧客の視点に立って、その組織の「真の使命」を明らかにしたものである
- 偉大な組織は深遠で崇高な「目的」、すなわち社員の意欲をかきたて、やる気を起こさせるような、「有意義な目的」を持っている
- 表面的な言葉づかいより、そこから人々に伝わる「意味」のほうが重要である
■ 価値観とは何か
- 価値観とは、目的を達成する過程で、どう行動していくべきかを示す、ゆるやかなガイドラインである
- 価値観とは、「自分は何を基準にして、どのように生きていくのか」という問いに答えるものである
- 価値観の内容を具体的に明らかにしないかぎり、どんな行動をとれば価値観を実践できるかはわからない
- つねに行動を伴うものでなければ、価値観は単なる願望にしかならない
- メンバーひとりひとりの価値観と、組織の価値観とを一致させなければならない
■ 未来にイメージとは何か
- 未来のイメージとは、最終結果のイメージ。あいまいではなく、はっきりと思い描けるイメージである。
- なくしたいものではなく、つくりだしたいものに焦点をおく
- 最終結果に到達するまでのプロセスではなく、最終結果そのものに焦点をおく
さらに、作り上げたビジョンが説得力を兼ね備えているかをチェックするための「チェックリスト」。
■ 説得力あるビジョンかどうかを確かめるためのチェックリスト
- そのビジョンは、自分達の使命をはっきりさせてくれるか
- そのビジョンは、日々の決断を正しく行っていくための指針になりうるか
- そのビジョンは、めざすべき未来を目に見えるような形で描いているか
- そのビジョには永続性があるか
- そのビジョンには、ライバルに勝つというだけではない、何か崇高なものがあるか
- そのビジョンは、数字の力を借りずに、人々に活気を吹き込むことができるか
- そのビジョンは、あらゆる人の心と精神に訴えかけるか
- そのビジョンは、ひとりひとりに自分の役割を自覚させるか
本書では本書で定義したビジョンを実際に創造、伝達、実践するところまで描かれています。ということで、あとは実践あるのみ。