以下抄訳のため、正確な情報については英文記事をご参照ください。
まずはキュレーターに求められる特性から。
1. 専門性
キュレーターにとって最も重要な特性が、対象分野に対する専門性だ。専門性が無ければ適切な情報を選別することはできない。専門性はキュレーション活動を通してさらに高められる。調査や研究を続けることで、その分野のエキスパートになった人も出てきている。
キュレーターはエキスパートへの登竜門と言える。キュレーターとしての経験を重ねることで、「迅速な情報及びインフルエンサーの特定」、「専門用語や専門技術に対する深い理解」、そして「関連業界における期待や恐れ、トレンドといった雰囲気の把握」が可能となる。エキスパートを目指すキュレーターにとって、これらは全てかけがえの無いスキルとなるはずだ。
2. 関連性
専門性だけでは読者に対して付加価値を与えることはできない(読者に訴求できない)。キュレーターはそこに、読者の理解を促進するための関連性(ストーリー)を与える必要がある。例えば、キュレートした情報が、業界が抱える問題点やニーズと直接関連付けられていれば、読者の満足度は増すだろう(読者の問題解決に繋げられるかどうか、あるいは実用的かどうかが重要)。この関連性の有無が、アカデミックな情報との最大の違いとなる。
3. 信頼性
信頼性は、キュレーターが持つ専門性、一貫性、そして継続性の結果だ。例えばあなたが私にとって価値のある情報を継続的に提供してくれれば、私はあなたを信頼するようになるだろう。従って、信頼性は特定の分野における問題や興味、必要性に直結するコンテンツやテーマをいち早く理解・発見し、これをキュレートすることによって高めることができる。同じ分野のキュレーターやエキスパートに対して敬意を払うことも忘れてはならない。
続いてキュレーターに求められるスキルについて。ここでは全体の鳥瞰を優先し、個々のスキルについて深く言及することは避けました。
1. 検索スキル
主要な検索エンジンを使いこなし、個人のブログやニュースサイトから情報源を探し出して特定するためのスキル。
ここでは検索エンジンから常に有用かつ最新の情報を得られるよう、各検索エンジンの特性(入力可能な検索条件)を把握したうえで、検索条件入力後のURL(検索結果のURL)を管理しておくことが肝要となる。キーワードや日付、言語、などの条件を駆使し、情報を絞り込む作業にも慣れておいた方が良いだろう。
2. メディア・リテラシ
スパムや広告、プロパガンダ、プロモーション情報など、本質的ではない情報を見抜くこと、そして広く流通しているテクノロジーやサービスを使いこなすことがここに含まれる。
3. コミュニケーション・スキル
「複雑な物事を文章で説明するための力」「読者の理解を促進するためのプレゼンテーション力」「絵図を用いて複雑な物事を表現する力」「読者の声を聞いて理解する力」「読者が所属するコミュニティの動向を把握する力」など、キュレーション活動に必要なコミュニケーションのためのスキル。
4. 編集スキル
「情報を選別する力」「読者の理解を促進するようなストーリーを構成する力」「参照情報・引用情報を適切に活用する力」「冗長な表現を要約する力」など、編集作業のために必要なスキル。
5. セマンティック・スキル
情報を整理・分類し、そこからパターン(トレンドや各情報の重要性)や意味、関連性、読者への価値などを見出す力。ここにはSEOに対する理解も含まれる。
6. ソーシャル・スキル
ソーシャルネットワークを構築、あるいは読者とのエンゲージメントを深めるためのスキル。
7. 情報管理スキル
集めた情報を管理(整理・保存)するためのスキル。今直ぐ必要ではない情報についても、適切に管理しておくことで、必要なタイミングで利用できるようになる。
8. 情報技術スキル
情報の収集や公開に必要な情報技術(IT)の特性を理解し、適切に活用するためのスキル。
前回の記事でもご紹介した通り、キュレーターの業務範囲はとても広く、高い専門性が要求されることもあり、多様なスキルが要求されるようですね。ここまで来ると、やはり専門職とすべきなのでしょう。
さて、キュレーションについては本記事で一応一区切りとなります。お読みいただきありがとうございました。コンテンツ・キュレーターの重要性は今後益々高まってくるはずです(『キュレーションの必要性』を参照)。ジャーナリストにとっては、キュレーションに関するスキルは必要不可欠なものになりつつあるのではないでしょうか。本ブログではキュレーションについてこれまでに何本かの記事を書いてきました。これらがこれからキュレーターを目指される人、あるいはキュレーションを導入するメディア企業において、少しでもお役に立ててれば嬉しい限りです。
最後に、ご参考までにキュレーションに関する良記事をピックアップしておきます。こちらも是非。