Yahooトピックスの編集に携われている奥村氏によるワークショップセッション『ネットで「新聞記事」は読まれない』のテーマは、私もこの一年考え続けた「ニュースサイトは、どうすれば社会的に意義のある記事を読んでもらえるのか?」でした。
Yahooトピックスの編集部門では、日々、新聞社や通信社、雑誌社など100以上のニュース配信元企業から数千本の記事を受信、ここからバリューのあるニュースを選別したうえで、ニュース毎に関連記事と関連サイトからなる「ニューストピック」にパッケージ化したうえで、Yahooトピックスに掲載しています。奥村氏によると、Yahooトピックスに対する総アクセスのうち (約43億8000万PV/月、約5000万UU/月)、約6割は「事件事故記事」「スポーツ記事」「エンタメ記事」へのアクセスが占め、社会的に意義のある記事、具体的には次のような記事についてはそこまで見られていないのが現状のようです。
- 公益性のある記事
- スクープ・特ダネ記事
- 調査報道記事
会場のニュースサイト関係者にも同様の問題意識を持たれている方が(恐らく多数)いらっしゃいました。現時点ではどのニュースサイトも根本的な問題解決には至っておらず、ニュースサイトによっては、「社会的に意義のある記事だけではビジネスが成り立たない」ため、例えばエンタメ記事を掲載するなど、PVを稼ぐ(ビジネスを成立させる)ための様々な「苦肉の策」を講じているようです。食っていくためには仕方のないことなのかもしれませんが、やはり今一番注力すべきは根本的な問題解決にあると、私は思います。
ニュースサイトが「社会的に意義のある記事を読んでもらえない」原因には様々なものがあり、当然サイトによってもその原因は異なるとは思いますが、私は今のところ、これら全ては「内容の問題」「手段の問題」そして「企業の問題」の3つに分類できると考えています。
- 内容の問題
例:「読みたいと思わせることができていない(コンテキストが不十分)」 - 手段の問題
例:「ユーザの情報消費手段と記事配信手段がミスマッチ」 - 企業の問題
例:「企業(業界)が信用されていない」
そして「これらの問題を一つ一つ解決していくしか、社会的に意義のある記事を読んでもらうことはできない」というのが私の見解です。ちなみに、ハフィントンポスト(Huffington Post)、プロパブリカ(ProPublica)、そしてCNNの取り組みは、ニュースサイトが上記問題を解決していくうえで非常に参考になるのでは、と、しつこく考えています。
- メディア研究 - ハフィントンポスト(HuffingtonPost) - NAVERまとめ
- メディア研究 - プロパブリカ(ProPublica) - NAVERまとめ
- CNNのデジタルメディア戦略 @2010年10月29日
なお、本セッションの詳細については、スイッチオンプロジェクトのブログに解説されています。ご興味のある方は是非。
検察の不祥事よりも、水嶋ヒロが読まれるんです。